道後温泉と湯神社の「初子祭り」

 道後温泉には、神代の昔、大国主命が病に倒れた少彦名命を温泉の湯につけたところ、たちまち病気が治ったという伝説があります。湯神社はこの2神をお祀りしています。
 大国主命は若い頃の名前を大己貴神と言いました。大己貴神には兄弟が大勢いました。ある時、この兄弟が共に因幡の八上姫に求婚しようと言って出掛けましたが、八上姫は大己貴神に嫁ぎますと言いました。
 この言葉に怒った兄弟たちはいろいろな手を使い大己貴神を殺そうとします。大己貴神の母は「お前がここにいてはいつか兄弟たちに殺されてしまいます。紀の国の大家彦神の所にお逃げなさい」と言います。
 そこで大己貴命が大家彦神の所に行くと、兄弟たちも追ってきました。大家彦神は根の国の須佐之男神の所に行きなさい。必ず何とかしてくださるでしょうと言って逃がしてくれます。
  根の国に来た大己貴神は須佐之男神のところに行くと娘の須世理姫が出てきて、一目で愛しあってしまいます。須世理姫は大己貴神を父の須佐之男神の前に連れて行き、私はこの人と結婚したいと言います。須佐之男神は、大己貴神に次々と試練を課します。
  この試練の中で須佐之男神は鏑矢を野原に放って大己貴神に取って来るように命じ、大己貴神が野原に入ると、すぐに回りに火を付けました。
 大己貴神が火に囲まれて困っていると1匹の鼠が現れて「内はうつろで、外はすぼまっている」と言いました。そこを踏みしめると穴に落ち下に隠れている間に、火が通りすぎました。
  幾つかの試練をくぐり抜けた大己貴神は、須佐之男神から、兄弟たちを倒しこの国の主となり、現し国魂となって、須世理姫を正妻とし、宇迦の山の麓に大きな宮殿を作って、そこを治めろと言われます。大己貴神は見事これを果たし国を作った神の尊称として大国主命と呼ばれるようになります。
  この大国主命が鼠に救われたという伝説に基づき、古くから旧暦11月の初めての子(ね)の日に祭りが開かれる様になり「初子祭」の名がつけられたといわれています。戦後は、人出の多い成人式に合わせ2日間開かれるようになりました。

神 符 焼 上 祭
餅 撒 き
福 引 き